さまざまな師弟関係(幽遊白書)
「自分が強くなるために師匠を殺そうってな結論出す奴にあたしが奥義伝承すると思うかい?
かといって、悩みもしないでやれませんってな毒気のない奴も同じ位嫌いだがね」
戸愚呂と対決する幽助に奥義を伝承する際、幽助にその覚悟を確かめたときの言葉です。
この言葉は、幻海という人がどういう人物なのかを端的に表した言葉だと思います。
自分を殺せと言っておきながら、本当にそうしようとするやつには奥義はやらない、
かと言って、悩みもなく殺せませんと言うようなやつにも奥義はやらない、と。
「じゃあ、どうせいっちゅーの!?」
と叫びたくなってしまうでしょうが、まぁ、天の邪鬼なんですね、師範は。
通り一遍の回答なんて求めてないわけですよ。
このときの幽助は、丸一日悩んで「やっぱり殺せない」という結論に至りましたが、
幻海はそれを「合格」とします。
奥義の伝承は激しい苦痛を伴うもので、場合によっては肉体の再起不能や精神の崩壊も
あり得るものであり、幻海としては幽助に「強くなることとその代償」について
悩んで欲しかったんじゃないかなーと思いますが、どうでしょうか。
「幽助… 人はみな時間と闘わなきゃならない…
奴はその闘いから逃げたのさ… 誇りも…魂も…仲間も全て捨てて…
お前は間違えるな幽助… お前は一人じゃない…忘れるな…誰のために強く…」
戸愚呂によって重傷を負わされ、力尽きるまぎわの幻海が幽助にかけた言葉です。
憎まれ口の含まれない、いわゆる”まっとうな”師匠善とした言葉をかける幻海は珍しいです。
もとは人間だった戸愚呂が、自分の強さを維持するために妖怪に転生したことを
時間との闘いから逃げたとして、幽助にはそのようになるなと諭します。
その上で、独善的な強さではなく、他の誰かのために強くなれ、と言いかけたところで
幻海は力尽きてしまいます。
「他の誰かのために強くなる」というのは、この後の幽助VS戸愚呂戦においてキーとなります。
「これがお前の首つっこんだ世界なんだよ幽助 力のないもんは何をされてもしかたがないのさ」
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